GREETING 院長ご挨拶

院長
医療法人勝又 高台病院 院長

石田 真理

このたび、令和6年4月1日付で院長を拝命致しました。

私は腎臓内科医として、主に急性期医療を多く担当してまいりました。急性期専門の病院は、病状が最も悪い時の処置に特化しており、患者さまがその後どのような経過を辿ったかを見届けることができません。急性期医療に長く携わるうち、ゆったりとした入院生活や適切なリハビリテーションにより深い癒しを提供し、患者さまの回復期を支える療養型病院に勤務したいと考えるようになりました。そのような中で院長就任という機会をいただき、嬉しく感じると共に、身の引き締まる思いです。

どんな病期でも支えられる、地域に根ざした医療の専門家集団に

2025年には、3人に1人が高齢者(65歳以上)になると言われています。ご家族が遠方で暮らしており、独居の高齢者も増えています。病気を患った時、どこの病院にかかるのか、また介護が必要になったら施設に入居できるのかなどは、高齢者ご本人にとっても、そのご家族にとっても常に重要な関心事でしょう。
本病院には、介護老人保健施設「あじさいの郷」や、小規模多機能型施設の「デイホームすいふようの郷」、「リバーサイドすいふよう」、「令和の郷」に加えて、認知症対応型共同生活介護施設「グループホームすいふようの郷」などのグループ施設があります。またそれだけでなく、地域の様々な業態の医療施設とも連携しています。慢性期医療、療養、リハビリ、透析医療、終末期医療など、その時々でもっとも適したケアが受けられる。ご本人もご家族も「ここに来ればずっと安心」と感じられる、地域に根ざした包括的な医療グループを実現してまいります。

身振りをつけて話す院長

「職員の幸せは患者さまの幸せ」と考え、働き心地の良い病院に

就任初日には、病院スタッフに「自分自身や、自分の家族が、ここに入院したいと心から思える場所を作ろう」という話をしました。私は、良い病院づくりに最も大切なのは「人」だと考えています。たとえば職員の休憩室。病院という患者さまを優先する場所では、職員の休憩室は最も狭く、最も隅に設けられることが少なくありません。そのような考え方を改め、スタッフが居心地良く、ここで働けて嬉しいと感じられる職場環境づくりに力を入れていきたいと思います。ひいてはそれが、患者さまの幸せにつながると信じています。

ご自宅のようにくつろげる環境で、安らかな余生を

語る院長

北原前理事長の「健康で安らかな老後はすべての人の願いである」というお言葉にもあるように、高齢者の多くは、最も住み慣れた自宅で余生を過ごしたいと考えています。もちろん、ご家族による在宅介護が適している場合もあるでしょう。しかし「家族だからこそ、親の衰えていく姿を見るのが辛い」という気持ちが湧くのもまた真実だと思います。親だけでなく、自身の子供たちのケアも必要な現役世代にとって、自宅での介護が難しいというケースも少なくありません。
当病院では患者さまが、できる限りいつも通りに過ごせる環境を実現したいと考えています。自宅のようにくつろいで暮らしながら、必要な時には適切な医療処置が受けられる。「ここに来てよかったね」と、ご本人にもご家族にも感じていただける入院生活を提供していきたいです。

個人の意思や尊厳を、最も大切にしたエンドオブライフを

「Shared Decision Making」という考え方があります。これは治療方針を決める際に、患者さまの人生観、その人の嗜好・選好、どうありたいかを最も大切にし、医療機関が情報提供し、意思決定をサポートする方法です。医師が一方的に説明し決断を迫るのではなく、「患者はチームの一員である」という考え方のもと、医師は患者さまの価値観を理解し「一緒に治療方法を考えていきましょう」というスタンスで臨みます。
また、もしもの時について事前に家族と話し合う「Advanced Care Planning」(人生会議)も、国や自治体を中心に推進されています。病状が進行し、自分の意思が伝えられなくなった時に備え、どのような医療を受けたいか・受けたくないかなどを、家族や医療従事者と共に考え、その意思を伝えておくというものです。
 
エンドオブライフもまた、その人の大切な人生の一時期です。当病院では、終末期においても、できるだけその人らしく、個人の尊厳を守りながら穏やかに過ごせる環境を実現していきたいと考えています。「Shared Decision Making」や、「Advanced Care Planning」の考え方についても、グループ内や地域での啓蒙活動に努めていきたいと思います。
 
酒匂川地域は温暖な気候に恵まれ、病院からは晴れた日には富士山が見えることもあります。春には満開の桜、初夏には紫陽花が咲き乱れ、周辺の山も四季折々に美しい姿を見せてくれます。お身体のことで何か心配がある時には、気軽に当病院を訪れてください。これからも地域の皆さまの健やかな暮らしを支えられるよう、職員一同、力を尽くしてまいります。

【略歴】
昭和62年 北里大学医学部卒業
昭和62年 北里大学医学部 脳神経外科入局
平成11年 仁友会 石田病院(現北彩都病院)腎臓内科 勤務
平成17年 仁友会北彩都病院 透析センター長
平成18年 仁友会北彩都病院 副院長
平成25年 荻窪病院 内科医長
平成27年 東海大学付属八王子病院 腎内分泌代謝内科 助教
平成31年 同 講師
令和6年4月 医療法人勝又 高台病院 院長

《所属学会・資格》
日本臨床栄養代謝学会
日本内科学会
日本透析医学会 透析専門医  評議員(2020~2022)
日本腹膜透析学会
日本老年医学会
日本感染症学会
日本医師会認定産業医
ISPD国際腹膜透析研究会
腎臓病SDM推進協会 事務局幹事
日本緩和医療学会
日本サイコネフロロジー学会